2024年4月某日、青森県外ヶ浜町三厩竜飛を訪れる機会があった。ただでさえ風が強いこの場所では、まだ4月ということもあり寒風吹き荒んでいた。海に面している場所に低木の植物しかないことも納得がいった。
竜飛岬周辺を散策していると、花をみつけた。
白くて可愛らしい花だと思い思わず写真に納めた。
帰宅後、この花のことが気になって調べてみた。調べてみると、菊咲一華(キクザキイチゲ)という花だそうだ。
Wikipediaによると1)
「北海道、本州の近畿地方以北に分布し、落葉広葉樹林の林床などに生育する。」
とあった。
こんなに小さくて可愛らしい花が、本州最北端の地にどうやって分布を広げたんだろうと疑問に思って色々と調べてみた。
そんな時に面白い文献に出会った。“龍飛崎における風車と灯台の風況に関する相関関係” という文献である。その中から一部抜粋する2)
「2016~2018 年の3年間における風向頻度分布は,年による変化は顕著でなく,季節による変化が著しい.すなわち図4を見たときに年間でみると,東西風向に卓越し,西風の頻度が大きいことが判る.これを1年のうち風速が大きい冬(1月)では,西寄りの風が圧倒的に頻度が多く,風速が小さい夏(7 月)では,東寄りの風が吹く傾向がある(図4).この原因は冬季にはシベリア高気圧からの西風が卓越し,夏季は太平洋高気圧からの‘ヤマセ’と呼ばれる局地風が原因と考えられ,特徴的な気候を示している.」
つまり竜飛岬周辺では、冬は西寄りの風、夏は東寄りの風が吹くというのだ。
昔から青森県では、「ヤマセ」と言われる東からの風が農作物などへの冷害をもたらしてきた。下北出身の方から聞いたのだが、ヤマセが来ると真っ黒い雲が来るのでわかるといい、地域によっては、夏だというのにストーブを炊いている場所もあるそうだ。
ここで、キクザキイチゲに戻る。私はある仮説を立てた。それは、この風に乗ってこの花はこの本州最北端の地にやってきたのではないか?と。今は、確証がないのでこの仮説を立証中の段階であるため、引き続き調査を進めていきたいと思う。
【参考文献】
1)Wikipedia:キクザキイチゲ
2)笹沼 菜々子、本田 明弘 龍飛崎における風車と灯台の風況に関する相関関係 風工学シンポジウム講演梗概集 26 (2020)
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